部下に叱る時はこうしましょう。こうしたらいいですよ。と教えてくれる本がありますが、実はあれだけでは足りません。
ああいう「叱り方の本」ってのは言い方のテクニック集みたいなもの。
部下との関係性ができてないと、技術を使って叱っても響きません。
なんで!?
と疑問に思ったかと。では実際に部下の立場に立って考えてみましょう。
部下に叱っても響かない理由は、関係性にあり
普段から部下の事を尊重せず、まともに褒めやしない。ミスしたら怒る。
こんなコミュニケーションだと、いくらテクニックを使って叱った所で、全く響きません。
部下に響かない理由は、日常のコミュニケーションがポイントなんです。
部下とのコミュニケーション、大丈夫?
部下と良い関係性ができていれば、効果的な叱り方をするとバシっと効きます。
どうしてかというと
- 上司は俺の事をいつも気にかけてくれてる
- いつもは俺の事を褒めてくれる
- だけど、ミスった時は叱ってくれた
こういう関係性だと、あまり叱る時の言い方に気を付けてなくても、部下は愛を感じます。
極論
「何やってんだ!これはお前がやったのか!?お前らしくないぞ。今すぐ謝ってこい!」
と大きな声で言っても、愛を感じます。
だけど、部下との関係性が最悪だと何を言っても響きません。
部下との関係性が悪い時は、こんな時
- 部下がプライベートな雑談をしない
- 部下との何気ない会話の量が少ない
- 部下に話かけても反応が冷たい
ちょっと大げさですが、こんな感じ。
あとは頼んだ仕事を持って来てくれた時に「ありがと」と言っても、表情一つ変えないような部下だと、関係性はあまり良くないかなぁと思います。
まぁ本人が『これくらい当たり前』と思ってたら、顔色を変えませんけどね。
叱り方の技術よりも、日常コミュニケーションが大事
先ほども言いましたが、自分の事をずっと気にかけてくれてる人から褒められたり、叱られたりすると嬉しい!と感じます。
例えば、全く顔も名前もよく知らない役員がやってきて
「営業トップの成績、おめでとう」
と言われても、大して嬉しくはないでしょう。
だけど、営業で全く成果を出してなかった時から、ずっと支えてくれて教えてくれた先輩に「おめでとう」って言われたら、メッチャクチャ嬉しいと思います。
やっと恩返しできた。って・・・
この役員と先輩の差は、日頃のコミュニケーション量の違いです。
褒める時で差が出るんだから、叱る時なんかもっと差が出ます。
いきなり良く知らん人に叱られても響きません。相手が役員だろうが社長だろうが。普段からコミュニケーションを取ってない人に言われた所で、通じません。
なぜかというと『俺の普段の仕事ぶりを知らないくせに、文句がある時だけコレかよ』としか感じないからですね。
役員クラスに怒られるのは滅多にないと思いますが・・・分かりやすいように例としました。
というわけで、日常どんだけのコミュニケーションをやってるか。で部下に叱った時。褒めた時も響き方が変わってきます。
叱る技術も大事ですが、普段のコミュニケーションを先に見直してみましょう。
部下とのコミュニケーションに課題がある時は
見直してみると、あら大変。こりゃ直した方が良いかもな・・・
と思った方は、下記のリンク先記事を参考にしてみてください。基本的なコミュニケーションのコツをまとめてます。
部下との関係性だけでなく、好きになった相手にも使えるのでお試しを。
>>【完全版】部下とのコミュニケーションに悩まなくなる方法論
部下に響く叱り方
叱る前に必要な事については説明しました。
次からは叱る時の技術です。ポイントは7つ
- 短く済ませる
- できるだけ、すぐに
- 遅刻程度の事で叱らない
- 感情的な言葉を使わない
- 周りに聞こえない声の大きさで
- 相手が納得するよう、理論的に伝える
- 改善する事で、利益があるような伝え方を
ちょっと多いですが、この7点全部を抑える必要はないです。
特にやっちゃイケナイ事3つをまず覚えましょう。
- 感情的になる事
- ダラダラと長時間叱る事
- 周りに聞こえるような場所、声で言う事
以上の3つを気にするだけでも部下に響く叱り方になります。
ただし、部下との関係性ができてないと意味はありませんよ。
ダメな叱り方は良い事が無い
まずパッと見の印象で、上司が自分のストレスを解消しているようにしか見えないからです。
部下に対して叱る時は、目的があるはず。
部下のダメな事を正しく修正するのが本来の目的ですよね。
なのに感情的になったり、ダラダラと説教したり、周りの人にも聞こえるような場所。大きな声で言うなんて事は、部下にとって何のメリットもありません。
ただただ上司の怒りを目の前に、反論が許されない時間を過ごすだけ。
部下だって大人なので、ダメな叱り方をすると聞かないモードに入ってしまいます。
『こいつ、自分のストレスのはけ口を俺にやってんな・・・』とか考えて、上司の言葉は右から左へ抜けるだけ。
これじゃぁ部下の時間も奪ってるし、叱る上司の時間も無駄。現場の雰囲気は最悪。
なにも良い事がありません。
いくら関係性が出来てても、ダメな叱り方をすると『えー実は面倒臭い人だったんだ』と見る目が変わってしまって関係崩壊
だから叱り方にもポイントがあるんです。
叱る時のポイント7つ
部下に叱る時、全部をやる必要はありません。
その時々によって必要なことと、そうでない物があります。覚えるのは大変ですが、ちょっとずつ頭の片隅にでも入れておきましょう。
短く済ませる
長い説教は、上司の自己満になってしまうので、短くスパっと叱りましょう。
- それは、やったらダメ
- 何でかって言うと・・・、と理由を言う
- 次からは気を付けよう
これが叱る時のテンプレートです。
できるだけ、すぐに
見つけたらすぐに言うのが良いですね。
じゃないと、ネチっこい。っていう印象を持たれます。
また、部下も何が悪かったのかが分かりやすいというメリットもあるし、場合によっては後になればなるほど、取り返しがつかない事もあるからです。
あと、済んだ事を言い続けるのもダメですね。叱って、修正して、済んだらもう終わりです。
遅刻程度の事で叱らない
世間一般の常識ってのは、良い大人なら理解しているはずです。
それをイチイチ言ってたらキリがありません。
確かに遅刻は良くないですが「遅刻すんな!」と言うだけじゃダメ。
なぜ遅刻は良くないのか、改善したらどんな利益が自分にあるのか、そこまで説明できるなら叱るべきでしょう。
例えば
『もう10分早く出勤すると、仕事がスムーズに始められるし、周りから頑張ってるなって思われる。もちろん強制はできないけど早めに来ておくと、その分準備もしっかり出来るから他の人と差を付けられるよ。結果的にそれが昇給にも響くし、昇進にも響く。まぁ、どうするかは自由だけど、早く来た方が良い事はあるよ』
と、こんな感じで言えば、部下は行動してくれるかもしれません。
押し付けると結構やらないもんです。
なので、こんな利益あるけど・・・まぁ、やるかやらんかは自由だよ?と言えば、心理的にも行動しやすいですよ。
感情的な言葉を使わない
感情的な言葉を使ってしまうと、単純に不利になる可能性があります。
パワハラとまではいきませんが、バカとかクズとか使えない。給料泥棒。とかは言い過ぎ。
それに相手によりますが、部下がブチギレる事もあります。
部下が何もしてこないだろうと調子に乗ってると、気付かない間に背中から斬られる事もあるんで、不用意な発言はしないように気を付けましょう。
周りに聞こえない声の大きさで
大声で叱ると、雰囲気は悪くなるし部下のプライドを傷つける事にもなります。
男性は周りからの評価をかなり大事にする傾向があるんで、プライドを傷つけるような叱り方は、部下の感情を逆なでするだけ。
全く心に響かなくなります。
全員の部下との関係性が完成していれば良いんですが、そこまで行き着くにはかなりの時間がかかるので、あまり周りに人が居る状況でガミガミ叱るのはやめといた方が良いですね。
相手が納得するよう、理論的に伝える
なぜダメなのか。その理由をしっかり伝える事で、部下は叱られた理由が明確に分かります。
ただ単に「ダメ。直せ」と言われても困りますよね。
だから何でダメなのか。その理由は・・・と説明する事で叱る時のクオリティが上がります。
改善する事で、利益があるような伝え方を
なんでダメなのか。その理由を伝えたら、次は修正すればどんな利益が出るのか教えましょう。
遅刻を改善すれば、周りの評価も上がるし、実際にライバルとの差を付けられる。
ということは、人より昇給も昇格も早まる。
こういう利益に繋げる言い方をすると、部下は叱られてハイ終わり。ではなく、直したらこんなメリットがあるんだな。と理解します。
人ってのは、自分にとって利益のない事はあまりやりたがりません。
筋トレするのってキツイけど、モテ体型になれるからやるんです。
理屈でいえば、それと同じ。利益があるから、人は行動します。
ボランティア活動は何なの?
と思うかもしれないけど、あれは喜ばれるからやるんです。人から感謝されますからね。
仕事をしても感謝されないけど、カネは貰えるからする。
カネは貰えないけど、人から感謝されるから気持ち良い。だからボランティアをする。と言う事。
だから、「改善したら、こんな利益がありまっせ」と伝えると、より部下が行動に移しやすいですよ。
ここまで言うと、響く叱り方に変わります。
ただ単に「何やってんねん!やめろ!」と言うだけじゃ、なかなか響きません。
まとめ:部下に響く叱り方をするには
最初にチェックする事は、部下とのコミュニケーションが上手くいってるか
部下との関係性が険悪だと、いくら叱り方の技術を身に付けても、全く部下の心には響きません。
まずは、部下との日常のかかわり方を見直してみましょう。
それから叱り方の技術を学び、実践してみてください。
叱った事が無いからちゃんと出来るか不安・・・という人でも大丈夫。
別に、声を荒げて言う事だけが叱るというワケではないんで。