
管理職
部下を褒める方が良いと言うけど
具体的にどう褒めたら効果的なんだ?
今回は、部下を正しく褒める方法を管理職向けにまとめます。
前回の続きの【 実践編 】として、褒め方のコツを教えます。
実践すれば、あなたの褒め方は格段に良くなって、部下のモチベーションがアップします。
目次
褒める時のコツは、全て土台から
褒めて伸ばす──という考えは、浅い
意外かと思いますが「褒める」なんて行動では、まだダメなんです。
というのも「 褒めて伸ばすか 」「 叱って伸ばすか 」の2択で迷う人がまだ居るから。
私からしたら、浅いです。
なんでかというと、「 褒める 」も「 叱る 」も部下が行動しないと管理職の人は出来ないから。
さて、私が何を言いたいかっていうと・・・「褒める」も「叱る」も管理職として当然の事ですよね。って話なんですよ。
あなたは部下がいつものように仕事をしている時に、どんな言葉を掛けてますか?
きっと、いつも通りだから何も言わないでしょう。
小学生でも分かりますけど、一般的に褒める時ってどういうシチュエーションか考えてみましょ。
- 成約が取れた時
- 頼んだ仕事が出来た時
- 初めて1人で仕事を処理出来た時
以上のようなシチュエーションですね。
そりゃ、褒めるのは当たり前ですよ。
私がもっと大事にするべきだと思ってるのは、普段です。
普段、何気なく頼みごとをしたり、任せた仕事を持って来てくれたら何て言うか・・・。そこが重要。
「 褒める 」という意識だけでは足りない
褒めるのは当たり前です。だけど、それだけではダメです。
結果が出ない人や、行動していない人を褒めるのって難しいですよね。
✅ 具体例
- 遅刻したけど、出勤した
- すすんで行動したけど、失敗した
- 電話が鳴ったので、受話器を取ろうとした
こんな時に、褒める人は管理職として達人級です。
ほとんどの管理職は褒めませんよね。
個人的な想像ですけど、「それくらい当然だ」「何も褒める事じゃない」って思ってるはず。
でも、その考えが管理職失格なんですよね。
しかし安心して下さい。92%の管理職は出来てませんから、あなただけ例外じゃないんです。
褒める方法のコツは、承認
承認っていうのは、部下の行動ありのままを認める事です。
例えば
「ちゃんと謝ってエライ」というレベルで部下の事を褒めましょって事。
職場で部下に褒める時に使うとしたら
- 今日も良い挨拶だね
- 頼んでた資料、ありがとう
- コーヒー入れてくれて、ありがとう
- 今日も残業してくれて、ありがとう
- 今日も仕事お疲れ。助かったよ
まぁ、こんな感じ。
どっかから「それくらい当たり前だろー」って声が聞こえてきそうですけど、こういう一言がメチャクチャ大事なんですよ。
よく考えて下さい。
普段から、ちょっとした事でも「ありがとう」とか「助かったよ」とか言われたら、どう?
嬉しいでしょう。百歩譲って、イヤな気分にはならないですよね。
こういうコミュニケーションで「誰かに認められてる」って実感するんですよ。
この「誰かに認められてる」が「承認」
では、この承認がなんで正しく部下を褒めるのに大事なのか解説します。
承認が無いと「褒める」も「叱る」も伝わらない
街中で知らない人にいきなり褒められたら、嬉しいですか?
⇒悪い気はしないでしょうけど、素直に喜べないですよね。
では、突然知らない人に叱られたら、素直に聞きますか?
⇒「誰だよお前。お前に言われる筋合い無いわ」って思いますよね。(笑)
どうしてこうなるかというと、「承認」が無いから。
もっと簡単に言えば、互いに互いの事を知らないから。ですよね。
余談ですが、まだ互いの事を知らない時に最適な褒める方法があります。それは後程。
図のように、承認という土台が出来ていないと、褒めても叱っても土台に乗らないものだと考えて下さい。
普段ちゃんと仕事ぶりを見てくれてないクソ上司から、「お前は何やってんだよ!自分の仕事くらいちゃんとしろ!」って言われても、腹立つでしょ。
褒める時も同じで、普段から承認してなかったら、いくら言葉のテクニックを使っても相手の心に響かないんですよ。
承認という土台が出来上がってなかったら、「褒める」も「叱る」も受け取ってくれないんです。
だから、まずは承認しましょう。
結構勘違いしている人が多いので、次で承認についてもっと掘り下げます。
部下を褒めるのではなく、承認する事
承認とは
承認とは、「他人に自分の事を認めてほしい」という欲求です。
この承認されたい欲求は、誰でも持っているものだと考えられてます。
マズローっていう心理学者が提唱した人間の欲求を図面化したものです。
安全の欲求までは、ほぼ満たされてると考えてOKです。
社会的欲求や承認欲求を、周りの人が満たしてあげる事で、部下のモチベーションは爆上がりします。
社会的欲求とは、所属の欲求の事。「ここに居たい」「この集団の仲間で居たい」っていう欲求です。
この承認欲求までは「足りないから、満たされたい」っていう受け身な欲求なんです。
だから、出来れば周りが満たしてあげましょう。
自分で自分を褒める事が出来る人も時々居ますが、出来れば管理職のあなたが褒める方が良いです。
誰かに褒められる方が、本当に誰かの役に立っていると感じられますからね。
自分の行動で誰かが喜んでくれたら、嬉しいでしょ?
だから、口に出して褒める事が大事なんですよ。
承認する側は、損しない
実は部下を褒めまくると良い事が起こります。
- 部下が言う事を聞くようになる
- 褒めても叱っても、ちゃんと心に響くようになる
- 部下のモチベーションが上がる
- 部下から褒められる事も
- 部下を褒める自分を承認出来る
5つめまで出来たら、管理職としては達人級です。
部下を褒めるプロになりましょう。
自分を褒める事で起こる事とは
- 自分に自信が付く
- 自分の事が好きになる
理屈を説明しだすと長くなるので、詳細は下記記事を読んで下さい。
承認には5つの種類がある
管理職が部下を褒める時は、特別な時だ。と言いました。
それは承認でいうと「結果承認」です。
結果承認とは、結果を出した事を褒める事。例えば「良く出来ました」
褒めるのが出来てない管理職は、この結果承認だけやってます。
少し上手い管理職は、もう1段階下の「プロセス承認」もやってます。
プロセス承認とは、結果を出した時の経緯を褒める事。例えば「根気よく営業先に訪問してたよね」
一旦ここまでにして承認の一覧表を出します。
部下を褒めるのがメチャクチャ上手い管理職は、行動承認まで出来ます。
行動承認とは、部下の行動そのものを褒める事。例えば「〇〇してくれて、ありがとう」
行動承認までは、少し意識をすればわりと気楽に出来ますよ。
私もさすがに意識承認や存在承認は難しいです。(笑)
意識承認とは、部下が意識した事を褒める事。例えば「〇〇しようと思ったんだね。エライな」
存在承認とは、部下の存在そのものを褒める事。例えば「今日も来てくれて、ありがとう」
ちょっと言うのは気持ち悪いですよね。なので行動承認でOKです。
さすがに会社に来て何もしない部下は居ないと思うので。
部下の行動を褒める事を意識しましょ。
最初はとにかく「ありがとう」って言う回数を増やすよう意識すれば出来ますよ。
例えば、頼んでた資料を持って来てくれたら、まずは「ありがとう」
仕事終わりに「お疲れ様、今日もありがとね」
こんな感じでOKです。
更に効果的な伝え方があって・・・
「〇〇さん。〇〇してくれて、ありがとう」
こんなふうに名前と、してくれた事を付け加えると、メッチャ効果的です。
どんなシーンでも使えるんで、覚えておきましょ。
承認しても結果はすぐに出ない
承認欲求は、どのくらい満たされてるか本人にも分からないんです。
このようなバケツを皆持ってると考えてます。
✅ 承認のバケツの特徴
- 貯まってる水の量は、本人にも分からない
- いっぱい貯まっても、変化がとても小さい
- 他人を攻撃しちゃう人は、空っぽに近い
- 自分で、水を捨ててる人も居る
- 穴が開いちゃってる人も居る
だから、貯まったら減らないと思ってると思ったらダメですよ。
結構根気強く、部下の事を褒め続けましょう。
最初は疲れますが、損をする事は無いんで、やりましょう。
【オマケ】最強の褒め方 陰褒め
陰褒めは、部下が受け取れる状態でなくても使える、最強の褒め方です。
✅ 陰褒めが良い理由
- 褒めた本人が居ない方が、受け取りやすい
- 別の人から聞くと、お世辞に聞こえない
陰褒めは、部下が自分の目の前で褒められると「裏があるんじゃねぇか」って思っちゃう人が、受け取りやすくなっちゃうんです。
メッチャ便利なんですけど、注意点があります。
✅ 陰褒めのポイント
- 言いっぱなしにしておく
- リアルにやった事を褒める事
- 「 あいつに言っておいて 」と付け加えるのはガチでアウト
「伝えてくれたら良いな・・・」って気持ちで、言いましょう。
✅ 陰褒めのメリット
- 自分に自信が付く
- 自分の印象が良くなる
- 聞いてる人は、自分も褒められたいと思う
- 聞いてる人は、悪口を聞くよりは気分が良い
- 聞く人は、自分も褒められている感じがする
部下が間接的に褒められた時のメリットは以下のとおり。
- 褒め言葉を受け取りやすい
- お世辞っぽくない
- より嬉しく感じる
本人に伝えてくれるかどうか分からないのは、効率が悪い。と思った人はこうしましょう。
【 効率が良い、陰褒めのやり方 】
- 信頼できる人を捕まえる
- 褒めたい人の良い所を、その人と確認する
- 一応、陰褒めのメリットを教える
- 褒めたい人に、信頼出来る人の名前を使って褒める
ようは、別の人があなたに対して陰褒めをした。という形を作るんです。
逆に、信頼出来る部下に「伝えておいて」と根回しする方法もあります。
さっきはダメって言いましたが、それは本人に「伝えておいてって言われたからね」と言われたら逆効果だから。
なので、後者は相棒を選ばないと失敗する可能性大です。
究極的には効率が悪くても、言いっぱなしの方がリスク0ですよ。
褒める時のコツ、叱る時のコツ
褒める時は、周りにも聞こえる場で
わざとらしくなく、周りの人にも聞こえちゃう声で言う方が、得です。
関係ない人もプラスの言葉が耳から入り、心地良い職場環境になりますよ。
ちょっと考えてみて下さい。
- 管理職の口から褒める言葉が聞こえてくる職場
- 管理職から怒号や、否定的な言葉が聞こえる職場
どちらの方が雰囲気が良いか、分かりますよね。
余談ですが、これを家で実践するとこうなります。
夫婦が褒めあっていると、子供は幸せに感じます。
逆に、夫婦ゲンカをすると、子供の脳にダメージが起こります。
2017年12月13日放送クローズアップ現代「 夫婦ゲンカで子供の脳が危ない 」より
叱る時のポイント
叱る時は色々と気を付けないと、あなたが損をします。
【 叱る時の7つのポイント 】
- 短く済ませる
- 出来るだけすぐに
- 遅刻程度の事で叱らない
- 感情的な言葉を使わない
- 周りに聞こえない大きさで
- 相手が納得するように伝える
- 改善する事で、メリットがある事を伝える
ダラダラ叱るのは、最悪。ただの、あなたの自己満です。
部下をイジメて気持ち良くなっても、あなたの評価が下がるだけ。
感情的な言葉は、相手をつい否定してしまうので、やめましょう。
「 いい加減な仕事をするな!だから、お前はダメなんだよ 」
これじゃダメ。
「 いい加減な仕事をするな!お前だからその仕事を頼んだんだぞ 」
このように言いましょ。
否定的な言葉を使う人と、一緒に居たいとは思えませんよね。
会社を辞めちゃう原因になるので、やめましょう。
こまかい事を注意しても、たいして良い事は無いです。
こまかい事を注意する時のポイントは、【完全保存版】部下に指摘する時のポイントで解説しています。ぜひ読んでみてください。
相手を納得させるのではなく、相手が納得するように言いましょう。
ミスが続く部下には・・・
「 次からは、こうしたらどうだろうか? 」と提案するのも、管理職としての役目。
叱る時は一緒にこういう事も言うべき。
- 改善するメリット
- 現状維持によるデメリット
部下が「 聞かないと損するな 」と思うような伝え方をすると、良いです。
叱る時も承認する事
例えば「いつもの君ならあり得ない事だよ」と言いましょう。
もちろん、普段から部下の事を見ていて、褒める事を続けてないと効果なしです。
先程もいいましたが、自分の事を否定する人からは離れたくなります。
職場では部下が会社を辞めるだけで済みますが、家だと家出や離婚になっちゃいますよ。
まぁ、それで済めば、まだ良いですけどね・・・
さっき例にあげたように、
「 いい加減な仕事をするな!お前だからその仕事を頼んだんだぞ 」
こういう言い方をすると、承認しているようにも聞こえるんです。
人格の否定や、存在の否定をするのはダメですよ。
管理職としてレベルアップしたい方は
まとめ 部下を褒める方法【管理職向け】
部下を褒める時のポイントをまとめます。
- 褒める回数をなるべく増やす
- 増やすには、褒めるハードルを下げる
- 褒める時の定型文は「〇〇さん、~してくれてありがとう」
- 正しく褒める事が出来てる管理職は8%
- 正しく褒める事が出来ていれば、叱る時も上手くいく
最初は心理的に行動に移しづらいですけど、92%もの管理職の人は正しく褒める事が出来てません。
出来てないのはあなただけじゃないので、少しずつやってみましょう。
この記事は、これで以上です。最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
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